その女、最強総長【完】
「凛の浮気相手?」
眉を八の字にして、真剣に言う仁がおかしくてくすっと笑いを溢す。
「俺の事嫌いに…」
トンッと仁の唇に人差し指を置く。
「なわけないでしょ。」
「じゃあなんで浮気したの?」
泣きそうな仁の手を取って、私のお腹に当てた。
「お父さん、僕の名前はセイ。」
ちょっと下手なアフレコ。
仁、意味わかったかなあ。
「へ……?」
「星、じゃなんか可哀想だから北極セイのセイ。」
「………セイ!」
さっきとはうってかわって嬉しそうにセイの名前を呼んだ。
「あっ、動いたかも。」
そう言うと、仁は何度も何度もセイと名前を言った。