その女、最強総長【完】
通路に入ると、目を赤くしながら啜り泣く叔父さんと叔母さん。
そしてその二人の視線の先には、厚いガラス越しに見える。
「‥‥卓…也」
だった。
一番、予想外の人。
だって、卓也はこの前まであんなに元気だったじゃない。
適当な関西弁喋りながら笑って、たまに泣きそうな顔するけど、それでも一生懸命生きていたじゃない。
「すいません。」
掠れた声が耳に入る。
「貴女、もしかして凛ちゃん…?」
目の前には卓也のお母さんだと思われるさっきの泣いていた叔母さんが私に話掛けていた。
「そう、です。」
「卓也からよく話を聞いてたわ。あの子凛ちゃんがとても大好きでねえ。何時も口説く練習してたのよ。」
こんな時に不謹慎かもしれないけど、ふふっとつい笑ってしまう。