その女、最強総長【完】
「どこ?お兄ちゃんはどこなの?」
私は此処でお空の上に居るんだよ。とでも言えば良いのか。
ガチャッ
部屋のドアが再び開き、中から出てきたのは叔母さんと叔父さん。
「咲也、よーく聞きなさい。」
叔母さんも叔父さんももう、泣いては居なかった。
「卓也はもう、この世には居ないの。」
「死んじゃ…ったの?」
「そう。」
そのやり取りを聞いて母親って凄いなと思った。
何であんなに強いのだろうかと。
「うぇえん……うぇえん」
大きな泣き声が、病院中に響く。
私はそれを背に向けて病室に戻った。
そっと、そっと。
天国に居る、卓也にも気付かれぬ様に涙を溢した。
「仁、人の命って何でこんなにも儚いのかな。」
「何でだろうな。」
仁にだって答えは解らなかった。