その女、最強総長【完】
何時もより何倍も時間を長く感じた。どっとくる疲労感。
でも、助産婦さんの言葉でそんなもの一気に吹き飛んだ。
「おめでとうございます!元気な男の子が産まれましたよ~!」
8月12日、0時00分
セイが産まれた。
うぇえええーん
大きな産声を上げるセイを助産婦さんがタオルで綺麗にし私の隣に丁寧に降ろす。
まだ目も開いていない小さな小さなその命。
ありがとう。
本当に
「産まれてきてくれて、ありがとう。」
久しぶりに喜びの涙を流した。
そういえば仁が、居ないなあと周りを見てみれば部屋の隅で泣いていた。
きっと見られたく無いんだろう、そう察した私は
「あれがお父さんだよ。」
目も開いていないセイに向けて言った。