魔女達の鎮魂歌/KEDCBA
「あっ、ここに居たんですね!」
シニアが重たい沈黙に痺れを切らしそうになった頃、小柄な人影が二人の方へ走って来た。
桜色の髪を肩辺りでカットした、やや快活そうな少女である。
「任務完了の報告が済んだら急に居なくなっちゃったので、探しましたよう」
「……頼んだ覚えはない」
「あう」
駆け寄ってくる少女を、しかしライファは言葉の刃でバッサリと斬り捨てる。
元々ライファになついていた上に、繊細な性格をしているからだろう。
すっかり凹んで俯いてしまった少女が可哀想になってなり、シニアは助け船を出す事にした。
「フィアは、ライファの事が心配だったんだよ。ね?」
「は、はいっ! 謁見の間から出てきた時、凄く険しい顔をしていたのを見かけたので……」
「余計な世話だと言っている。少し一人にしてくれないか?」
フィアと呼ばれた少女は勢い良くまくしたてるが、やはりライファは取り合おうとはしない。
「僕は一匹としてカウントされるの? それとも──」
話の途中で、シニアの姿が陽炎のようにゆらめく。
直後、彼が行儀良く座っていた場所には、黒髪の少年の姿があった。
使い魔の持つ、変身能力である。
「──一人としてカウントされるのかな?」
「騒がしいのは好きじゃないんだ」
独り言のように呟いたライファはすっくと立ち上がると、短いメロディを口ずさむ。
そのまま、彼女の姿は二人をその場に残してフッと消えてしまった。
“ダルセーニョ”と呼ばれる、特定の場所へと瞬間移動を行う歌術の一つである。
「私、何かまずい事でも言っちゃいましたか? ライファさん、何だか怒ってたみたいですけど」
不安げに訪ねるフィアに、シニアは首を横に振った。
「フィアは悪くないよ。強いて言うなら、間が悪かった……って所かな」
任務終了の報告を行った時の事を思い出しながら、シニアはふう、と溜め息を漏らすのだった。
シニアが重たい沈黙に痺れを切らしそうになった頃、小柄な人影が二人の方へ走って来た。
桜色の髪を肩辺りでカットした、やや快活そうな少女である。
「任務完了の報告が済んだら急に居なくなっちゃったので、探しましたよう」
「……頼んだ覚えはない」
「あう」
駆け寄ってくる少女を、しかしライファは言葉の刃でバッサリと斬り捨てる。
元々ライファになついていた上に、繊細な性格をしているからだろう。
すっかり凹んで俯いてしまった少女が可哀想になってなり、シニアは助け船を出す事にした。
「フィアは、ライファの事が心配だったんだよ。ね?」
「は、はいっ! 謁見の間から出てきた時、凄く険しい顔をしていたのを見かけたので……」
「余計な世話だと言っている。少し一人にしてくれないか?」
フィアと呼ばれた少女は勢い良くまくしたてるが、やはりライファは取り合おうとはしない。
「僕は一匹としてカウントされるの? それとも──」
話の途中で、シニアの姿が陽炎のようにゆらめく。
直後、彼が行儀良く座っていた場所には、黒髪の少年の姿があった。
使い魔の持つ、変身能力である。
「──一人としてカウントされるのかな?」
「騒がしいのは好きじゃないんだ」
独り言のように呟いたライファはすっくと立ち上がると、短いメロディを口ずさむ。
そのまま、彼女の姿は二人をその場に残してフッと消えてしまった。
“ダルセーニョ”と呼ばれる、特定の場所へと瞬間移動を行う歌術の一つである。
「私、何かまずい事でも言っちゃいましたか? ライファさん、何だか怒ってたみたいですけど」
不安げに訪ねるフィアに、シニアは首を横に振った。
「フィアは悪くないよ。強いて言うなら、間が悪かった……って所かな」
任務終了の報告を行った時の事を思い出しながら、シニアはふう、と溜め息を漏らすのだった。