ある冬の日に。[冬]
その瞬間に拡がる香り。

鼻孔ではなくて、全身で感じる。

冷たくて、柔らかい、そしてどこか安心するような香り。

それが彼女の言っていた匂い。


それが雪の香り。


それに気付いた時、彼女はもう消えていた。


降り来る雪も消え、


もう、雪の匂いもしない。
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