ある冬の日に。[冬]
私は言った。

「そろそろ行かなくちゃ。」


それは冬の終わりの日のこと…。


彼は私を抱き止めた。


それは温かくて、でも、なんだか物悲しくて…。


その温かさは知りたくなかった。知ってしまえば、また望んでしまうから…。



あと数秒で日付は変わる。

その時、冬は終わる。


そして私は…


ここから消える。


だからその数秒だけは彼の腕の中で……。


雪達が私に語りかけてくる。


もう行くよ。と。


私の体は消えてゆく。

冬が終わるから。


貴方の前にいられるのは冬の間だけ…。


あなたは来年もここに居てくれるのかな。


もし、居てくれるのなら


私は

冬の妖精

雪の恋人


それと冬だけの

貴方の……貴方だけの彼女。




-完-
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