ある冬の日に。[冬]
ザスっ。公園には雪が積もり、一歩踏み入れると雪を踏みしめる音が辺りに響いた。

意外に音が大きい…。

もしかして彼女に聞こえただろうか?

ドキドキしていると、数m先で彼女はゆっくりとこっちに振り返った。

彼女は俺をじっと見つめたまま少し首を傾けた。

「あ、あの…。」

声が少しうわずってしまう。

「ずっとここに立ってたみたいなんで大丈夫かなって思って…。」

俺はそう言いながらザスザスと進んでいく。

「大丈夫ですよ。」

彼女はそう言って少し笑った。

「ここで何をしてたんですか?誰か待ってたとか?」

俺は彼女の横まで来て改めて思う。

…本当に妖精みたいだ。

彼女はクスリと笑うと、

「ちょっと雪に誘われて。」

と言った。
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