ある冬の日に。[冬]
「そう…なんだ。」
俺の口からは少ない言葉を彼女に向けて発信した。
少し言葉が詰まってしまったのは、彼女を変に思ったからじゃない。
ただ、その言葉が彼女に似合いすぎていたから…。
純白な雪の世界で一人立っている彼女の白い肌が、
寒さでうっすら赤くなった頬が、
雪をそのまま纏ったかのような純白の姿が、
全てが、そう彼女の全てがその言葉に美しさを与えていた。
「変なこと言うでしょ、私。」
彼女は微笑みながら言った。
大きめな瞳で俺を見ながら、可愛い、としか形容のしようがない笑みを俺に向けていた。
その瞬間の彼女を表すにはどんな数の言葉があってもまるで足りない。
そんな気がした。
「そんなこと…ないよ。」
それだけの返事。
……一目惚れ。
俺の気持ちはそんな一言で言い表すことができた。