ある冬の日に。[冬]
それから月日は流れた。

彼女はいつも変わらない微笑みで雪と触れ合って。

ただ変わったのは彼女の横に俺がいることだけ。

その時間は幻想みたいに僕らを包んで、雪さえも暖かく感じた。

だから名前も聞けなかった。

名前を聞いてしまえば、彼女のことを知ってしまえば、彼女が彼女じゃなくなる気がして、幻想が終わってしまう気がして…。


でも、それでも、時は幻想の終わりを告げにやってきた。

それは冬の終わりの日のこと……。

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