またいつか
太陽の下で
あの土砂降りの日から3日。
今日は太陽の下にいる君を見た。
猫がいた場所で、からっぽになった箱を見つめながら
『幸せになれたのね』
って微笑む君は、全てを包む女神様みたいに見えた。
「ぁ…あの!」
やばい!
思わず声をかけてしまってから、何を話したらいいのかわからないことに気がついた。
「はい…?」
微笑みながら聞き返してくる君に、つい見とれてしまいそうになる。
「ゃ、あの…猫!今俺んちにいて…」
あの日、つい抱き上げてしまった猫の温かさに涙が出そうになって、結局家に連れ帰ってしまった。
「…そう…あの子、幸せにしてあげてね。」
「で…あの…名前!何がいいか決まらなくて…よかったら考えてくれないかなって…」
何を言ってるんだ?
たった1度言葉を交わしただけの奴にこんなこと言われたって、困るに決まっている。
でも君は…
「…そうね…白い毛の女の子だったから…アンジュ、なんてどうかしら?」
「アンジュ…」
「フランス語で、【天使】っていう意味よ。」
「あぁ、いいね。そうしよう。アンジュ。…なぁ、アンジュに会わないか?」
つい口にしてしまった誘いの言葉に、君は一瞬目を丸くして、
『そうね…会わせてもらおうかしら』
と優しく微笑んだ。