またいつか
君の手
『お姫様』なんてつい言ってしまったけど、自分で恥ずかしくなった。
でもまぁ…君が笑ってくれたからいいか。
僕の腕の中にいる君は、思っていた以上に儚くて、強く抱きしめたら壊れてしまいそうだった。
「そういえば…ご両親は?」
突然腕の中で君が問いかけた。
「あぁ…海外の仕事が多くて、この家には帰ってこないんだ。」
別に、僕にとっては大したことじゃない。
小さい頃から一人でいることには慣れていたから。
でも君は寂しそうな顔で、『そう…』なんて言いながら僕の背中に腕を回して抱きしめてくれた。
その手はなんだか温かくて…
細く、か弱い腕なのに、なぜかとても大きく感じた。