狼少女と初恋。
君の名。
それから、時は過ぎ
今日に至った。
「なっちゃん居なかったねぇ~。」
乃愛がいまだ
きょろきょろしながら言う。
そりゃ、学年の教室だから
いないのが当たり前なんだけど。
「ここには、居ないと思う。」
冷静に、告げる。
あれから、私の中の
狼少女が出てくることは
ほとんどなかった。
何故か彼の前でしか
出てこない気まぐれ狼のようだ。
「あ~、いた~。」
ばっと、乃愛が
指さした方を向く。
人が多くて
判断しにくいと思ったが、
一瞬でわかった彼の存在。
「…那月。」