狼少女と初恋。


「紗那・・・。」

・・・那月。

「なっちゃん、
 挨拶してきなよ~。」

それとなく、
キツイ言葉。
乃愛の那月に対する
優しさだと思う。

「・・・して来いよ。」

__嫌、行かないで。

「いいよ、終わった事だし。」

狼さんが吠える。

「馬鹿、そんな顔して
 平気な振りしないで。」

__私が、いるじゃんか。

「・・・ん。」

駆ける背中を見送った後、
乃愛に言われてしまった。

「無理すんな。
 馬鹿は志祐梨だ。」

黒兎さんにも
感謝しなくちゃね。

目尻に溢れそうな
涙を拭き、また歩き出す。

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