狼少女と初恋。
那月が彼女の
肩を叩き、話しかけている。
顔は伏せたまま、
きっとぶっきらぼうに
言ってしまったんだろう。
彼女は少し困ったような顔して
それでも何か1言返したようだ。
あまり見ない、いい笑顔で。
那月はくるりと向きを返し、
私たちを待っている。
少しだけ小走りで駆け寄り、
疑問を投げかける。
「話せた?」
「あぁ、少しだけな。」
「よかったね~。
でさ~、___。」
それから話したことは、
ほとんど聞こえてこなかった。
頭の中で巡っていたのは、
那月の事だけ。
那月は、
諦めたんじゃないの?
ぐるぐると、
未練だけが残っているみたい。
嫌だよ、こんな私。