狼少女と初恋。
「お前、自覚してるだろ?」
窓の向こうを見ながら
那月の唇が動く。
何のことか、
分からなかった。
抽象的過ぎて、
でも、
この恋心の事かと
驚いてしまった。
違うよね?
「本音と建前の逆転。」
・・・・・・え?
は・・・え?
狼さんの事、
分かってたの!?
「最初は、俺の事
嫌いなんだと思ったよ。」
違う。
だって最初から
嫌うどころか
好きだったんだもん。
「でも、図書室の一件で分かった。」
那月は私と目を合わせ、
頬を撫でる。
「癖が。」