どうして好きなんだろう
「り~お~。お待たせ~!」
その姿を確認する前に下駄箱から義人の叫ぶ声に視線を移す。
見ると靴を履くのもそこそこに、こっちに向かって走ってくる。
その途中、真っ暗なグラウンドに目を向けて声をかける。
「あれ?直、まだやってんの?お疲れ~。」
「あぁ、お疲れさん。」
こっちに近寄ってきていたあの足音が返事をしている。
声のしたほうに視線を向けると、街灯にうっすら照らされたのはすらっと長身の背中。
義人とタメ口なら3年生なのかな?
あっという間に小さくなっていく背中。
ランニングのように軽く走っているようにみえるのに結構なスピードなのかな。
「り~お?」
グラウンドに向いていた顔を両手で挟んで義人のほうに向けられる。