どうして好きなんだろう
直に簡単に触れているその腕が許せなくて、視界に入ることさえ嫉妬で胸が焦げそうで、そんな二人から目を逸らす。
「…理央には、関係ない。」
抑揚のない声でまた繰り返された言葉を残して。
直は振り返ることなくその彼女を腕に絡ませたまま歩き出す。
…知ってるよ、そんなこと。
私には関係ないことも、そんな資格もないことも。
わかってるのに……どうして、こんなにも直のことが好きで。
どうして、義人じゃだめなんだろう。
流れる涙はそのままに、私はしばらくそこに立ち尽くしていた。