どうして好きなんだろう
自由登校になった3年の3学期は、なんて良いシステムなんだろうとホントに感謝もした。
直に絡みつく腕も、取り巻く声も聞こえてこないところでは、無理矢理にでも勉強に集中できたと思うから。
義人と別れた今、直と私を繋ぐものはなにもなくって、ほんの噂話でさえ耳に入らない。
直がゆりちゃんとどうなったのか、まだあの女の子達と遊んでいるのか、どこの大学に行くのかとか…何も。
それでも、直を想ってドキドキしたり、声が聴きたくなったり、あの後姿でもいいから見たくなったりもする。
忘れようと努力しても無理で、全然会ってないのに脳裏に浮かぶその姿はいつでもはっきり描かれている。
どうして直じゃないとダメなんだろう。
誰も答えられないその問いをいっそ直に問いかけたいくらい。