どうして好きなんだろう
二人で帰っていても、95%は義人が話をして、残りの5%で私の相づちが挟まるくらいで。
今日も部活であった面白い話しを聞きながら別れる駅に着く。
ゆっくり歩いて学校から駅までは20分くらい。
その間ずっと絡められた指先に、すれ違う同じ学校の生徒の目が注がれているような気がして、私の顔はだぶん赤いまま。
…やっぱり慣れない。
「じゃ、理央また明日。明日はバイト?」
「うん、そう。」
「そっか。じゃあまた学校でね?」
「うん。バイバイ。」
絡めていた指先を名残惜しそうに離し、振り返りながらも手を振る義人。
私もホームに上がる階段を登り始めるけど、途端に鳴り響くメール着信音。
ディスプレイを見て、数秒前に別れたばかりなのに…と口元が緩む。
いつものことだけれど、こういうのが可愛い。
‘ホームでまたバイバイしてね~’泣いているキャラクターの絵文字が最後についてたりして、家に帰るだけなのに、また明日会えるのに、付き合い始めた頃と変わらない義人の愛情表現に嬉しくもなる。