どうして好きなんだろう

「…なんなんだよ、お前ら。オレに遠慮とか、最低だぞ?全く何考えてるんだよ、あいつ。……さっきな、行ってくるわって電話あったんだよ。もう空港みたいだった。」

ここから空港までは電車を乗り継いでどれだけ急いでも1時間以上かかる。

まだ搭乗前だったとしても、空港に着いてから直を探すとすればどれだけの猶予があるのか想像もつかない。


それは、やっぱり絶望的な現実で。

「…理央……。」

泣きじゃくって返事もできない私に、「ごめんな。」と義人が呟いて通話を終えた後も、私はそのまま携帯をしまうこともできずにただ、止まらない涙を拭っていた。


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