どうして好きなんだろう
どうしようかな…店長に頼もうかな。
他のお客さんは対応する私でも、このおじさんだけは気持ち悪くて店長にバトンタッチすることが多かった。
ちょうど、お客さんの流れが途切れた瞬間、狙ったように数本のDVDを持ったおじさんがこっちに向かってくる。
こういうものを借りる人って、お客さんがいないタイミングを見計らってくるもんね。
奥にいる店長にレジを代わってもらおうと後ろを振り返る…と私に背を向けて電話中の店長。
話している内容はどうも仕事の内容で。
しょうがない、私が対応するか。
諦めてレジに向き直ると、目の前にはいつもの帽子と私をチラチラ見上げるおじさん。
やっぱり、気持ち悪い。差し出されたDVDもおじさんの手に触れないように受け取る。
いつものように、無表情で、テキパキと…それだけを考え、手元だけを見たまま貸し出し作業を行う。