どうして好きなんだろう

そんな思いが渦巻き、

「私、してません…。」

口から零れてしまう。

怖くて震えた、消えそうな声だったけれど、それを聞き逃さなかったおじさんはますます顔を赤らめ、店長を怒鳴りつける。

「ここの店員は謝ることもできんのかっ。どういう教育をしているんだ!」

アダルトDVDを借りているおじさんが教育云々を語っても説得力はないと内心思うけれど、今度は言葉に出さずに俯く。

店長はオロオロしながら私とおじさんの顔を見比べている。


店長も私が悪いって思ってるのかな…私が謝っちゃえばいいのかな…。

店内の他のお客さんがどうなっているかなんて俯いている私にはわからないけど、でもきっとレジも止まったままで迷惑してる。


唇を噛みながら謝ろうとしたその時。
< 26 / 215 >

この作品をシェア

pagetop