どうして好きなんだろう

「別に。…でも、自分とこのバイトもっと信用したほうがいいっすよ。」

整った顔だけに、ニコリともせずに言う言葉は怒っているようにも聞こえてしまうけれど。

「うん、そうだよねぇ。理央ちゃんには悪いことしちゃったな~。」

安堵の表情を浮かべる店長は気にもしてないようだった。

自分の名前が出たところで、やっと体が正常に動き出す。

「あのっ、ありがとうございました。」

支払いを済ませて背中を向けようとする彼に向かって頭を下げる。

おじさんから助けてもらっただけじゃなくて、店長にまで『信用したほうがいい』なんて言ってくれたし。

『こいつは笑ってない』って、言ってもらえてちょっと…嬉しかったから。
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