どうして好きなんだろう
「それより、り~お。屋上でご飯食べよ?」
それが自分の物かのように私のお弁当袋を持って、手を引っ張る。
私の彼氏、小島義人(こじま よしと)は私たちが付き合いだした2年の初めからずっと、もう1年近くこうやってお昼休みには私を誘いにやってくる。
私に女の子の友達が少ないのはこの男の所為だと、数少ない私の友人の一人、栗原真尋(くりはら まひろ)も認めている。
真尋とは2年の時から同じクラスだけど、人とあまり群れたがらない彼女は、昼休みになると大好きな図書室に篭ることが多いので、私が義人と一緒にいることには何の支障もない。
そんな真尋とは私の苗字が香月(こうづき)で、名前順で席が前後に並ばなかったら友達になっていたかも怪しい。
私の手を引きながら、昨日の夜に見たテレビの話なんかをしている義人の顔を見る。
私の目線とさほど変わらない位置にある人懐っこそうなクリッとした瞳。
笑うとめいっぱい広がる唇と色白なその容姿は、学校イチとは言わないけど5番目くらいには入るくらい整っていて。
なんでこの人と目立つ存在でもない私が付き合っているのか、甚だ疑問に思う毎日。