どうして好きなんだろう
「り~お~。聞いてる?」
いつの間にか屋上の定位置、海が見えるフェンスの傍で私の顔を覗き込むハスキーボイス。
私的にはこの声も人気のひとつじゃないかと思ってる。
「あ、ごめん。も1回言って?」
「だからさ、今日は部活終わるの待っててくれるの?」
あ…それか。期待を込めた必死の瞳に負けて、今日は頷く。
「うん。待ってるよ。」
そう言って私が微笑むと、途端に安堵したようなため息が漏れる。
「よかった~。先週はダメだったもんね。じゃあ今日は頑張れるよ~。」
ふにゃぁっと目尻を下げて笑う顔はほんとに幸せそうで、私も嫌いじゃない。
私の答えに満足したのか、私のお弁当は膝の上に置いてくれて、自分のお弁当を勢いよく食べ始める。
私はというと、放課後の憂鬱な時間をどう過ごそうか小さくため息を吐きながら箸を動かす。