どうして好きなんだろう

「そうなんだ。あ、何泊?」

「1泊。」

基本的に単純作業のバイト。

1ヶ月もやっているとバイト経験がない私でもテキパキと貸し出し作業はできるようになる。

彼も店長の言うように常連らしく、私が料金を言う前にポケットから小銭をじゃらっと出す。

「じゃ。」

「ありがとうございました。」

無愛想王子は軽く右手を上げて出て行く。


多分、話した時間は5分間も無くて。

去っていく時はそりゃあもうあっさりだったけど、この間とは比べ物にならないくらい会話が成立していて。


このあだ名は早くも返上しなきゃな、と心の中で呟く。
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