どうして好きなんだろう

長谷川くんはそのまま通り過ぎればいいけど…さ。

この目の前の明らかに疑わしいって目をしてる義人をどう処理しろっていうの!?

「…理央、直(なお)と知り合いだっけ?」

やっぱり声がいつもより低くなってる。

「直って…長谷川くん?あの、常連なの、バイト先の。前にね、一度、お客さんにいちゃもんつけられた時に助けてもらったことがあって…。」

アレは、彼にとってはどうだったかはわからないけど、少なくとも私は彼の言葉に助けてもらったから正直に口にする。

「オレ、いちゃもんつけられたのなんて知らないけど?」

…そうでした。義人に言うと絶対バイト辞めなよって言われるからあえて言わなかったのよ。

どうしよ…。嘘ついてたわけじゃないのに必要以上に焦ってる私を見て眉間に皺まで寄せて見つめる義人。



「余計な心配かけたくなかったから…。ごめん、ね。別に何かされたわけじゃないから。
……バイト、辞めなって言われると思ったから…。」

言葉を重ねるけれど納得の表情を見せない義人に、つい本音も口にする。
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