どうして好きなんだろう

そこに考えが及ぶと、自然と今まで動かしていた手が止まって考え込んでしまう。

もしかしてちょっとやそっとじゃ解決できない大きな問題なんじゃないのかな…。

ただの嫉妬とかじゃなくて、義人と付き合っていくにはほんとに長谷川くんとは口を利かない覚悟がいるのかも。


そう思うと、少し…イヤ、かなり残念に思っている自分に戸惑う。


彼は…無愛想だけど時々笑う顔が意外と優しくて、陸上部だけど映画が好きで、好きな映画の話なら饒舌で、小さい子達にはとても優しく笑えて、そして困っている人をほうってはおけない人。

時々少しだけ話す人…でももしかしたら義人といるよりたくさんのことを伝え合っている人。

義人とは聞き役に回ることが多くて、私の好きな映画の感動したシーンや好きなセリフを伝えたことはない。


最近は、彼と映画の話をすることが密かな楽しみになっていたことは事実で。
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