どうして好きなんだろう
「そういや、あのおっさんどうした?」
もう体は振り向きかけて、顔だけこっちに向けたまま思い出したように聞かれる。
「あ…あれから見てない。」
「そっか、よかった。俺のせいで余計嫌がらせされてたらどうしようかと思ってた。」
不意打ちの優しい言葉と、心底安心したような彼の表情に、胸の真ん中がキュッと締め付けられる。
「そんなこと…。そういえばあの時、私が笑ってなかったって。あれ、ほんとに見えてたの?」
これ以上その顔をみせられたら気持ちがまたグラつきそうで、あれから気になっていたことを口にする。