どうして好きなんだろう
「じゃあ、どうして…?」
眉尻を下げて真を伏せたままの義人を見つめる。
こんな義人見たこと無い。
いつも明るく冗談もよく言って、泣きそうな顔なんて見せない義人。
目の前に座る彼はとても自信がなさそうで、何か考えるように、言葉を選ぶように、一言ずつ呟く。
「理央が、悪いんじゃないんだ…。オレが、ダメだから…。こんなの、情けないよな。でも…直は…あいつは、すげーいい奴だから。…だから、」
私は義人を見つめたまま、彼の言葉を待つ。
義人は、足元を見つめたままだったけれど、何かを吹っ切るように顔を上げる。
そして、私のほうに向き直りながら言葉を言いかけた瞬間、視界の端に見つけた何かに表情を失う。