どうして好きなんだろう

キーンコーン―…

昨日の夕飯の残りを自分で詰めただけの素っ気無いお弁当をようやく食べ終えた頃予鈴が鳴る。

「あ~あ、もうお昼終わっちゃったね。じゃあ理央、授業終わったら迎えに行くよ。」

「大丈夫だよ。義人着替えなくちゃでしょ?先行ってて?私適当に行くから。」

部活に行くまでの短い距離も一緒に行こうと誘う義人をやんわり断る。

そんなに頭っから見学してたら時間が経つのが遅いのなんのって。

それに義人と歩いていると下級生からの視線もバシバシ感じるから落ち着かないんだよね。

「そう?一緒に行きたかったのにな。理央とちょっとでも長くいたいし。」

少し頬を染めながらでもしっかり目を見ながら伝えてくれる義人は可愛いと思うし、羨ましくもある。

男でも女でも、こうやって目を見て伝えるのにはそれなりに勇気がいると思うから。

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