どうして好きなんだろう
「義人…?」
そのまま言葉を飲み込んだ義人に先を促すけれど、彼は私と通り越して、その先を見つめているようで。
振り返ろうとする刹那、
「義くん…?」
それは甘く砂糖菓子のような小さな声。
義くんと呼ばれた目の前の彼は、いつものような目尻を下げる微笑で先ほどのテンションとは桁違い、お得意の甘めのハスキーボイスを響かす。
「ゆりじゃん。今日はデート?相変わらず仲がいいねぇ~。」
「ふふ。義くんも?彼女さん…?」
ゆり、と呼ばれたその子は。
清楚という言葉がぴったり当てはまり、腰近くまである黒髪と、陶器のような白い肌とのコントラストがとても綺麗な子だった。
背は義人よりもまだ低くて、華奢な体を覆う可憐な制服は、ここら辺では有名なお嬢様学校の制服。
私の目の前まで歩いてきたそのゆりちゃんに、義人は私の肩を抱き寄せ紹介する。