君のコト、さらっていいですか…?
そこには涙目の文がいた。

泣きたいのはこっちだっつーの。

「痛いんだけど…!」

そりゃあ私もさすがに怒りますよ。

「今の莉津以上に私のが

痛いもん、バーカ!」

バ、バーカ?

「何でそんなこと言われなきゃ

いけないわけ?!」

「言わないんだもん!

愼樹くんに告白しないんだもん!」

文が泣き叫ぶ。

「そんなの私の勝手じゃん!」

「そんなことばっか言ってるから

無駄な意地ばっか張ってるから

あのときみたいになるんだよ!」

「あのときって何のこと?」

「もしかして忘れたの…?」

この過去こそが私を掻き回す。

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