小悪魔王子
Side 苺香
Side苺香
離して欲しい。
風斗くんのいると胸が苦しい。
風斗くんは少し乱暴に私を抱き寄せる。
「っ。」
やめて、やめて。
本当は嬉しい。
風斗くんに抱き締められて嬉しい。
でも、そこに気持ちがないのならただ苦しいだけだ。
「からかわないでよ。思わせ振りな態度なんてとらないで。」
自分でもびっくりするくらい弱々しい声。
そして頬に涙が流れる。
「こんな想いなんてしたくないよっ。」
惨めだよ、私。