九条祐輔の恋愛方程式。
中曲
現場に着くと、
担架には、既に事切れた優月が乗っていた。

「うぷっ…」

初めて吐き気がした。

優月は髪を切られ、顔を刃物で傷つけられていた。
そして眼球に鉛筆。
夥しい数の内出血や、鬱血。
やはり腹には彫刻刀が刺さっていた。

何でなんだ。何で犯人は、僕の大切な人を奪っていくんだ。

「九条」

「巡査、部長…」

「次の犠牲者はおそらく、
俺だ」

「…え?」

「九条。もし俺が死んだら、俺の机の右の引き出しを開け」

「どういう意味で」

「巡査部長!こっちお願いします!」

「わかった!」

巡査部長は駆けていく。
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