あんたなんてほんと大っ嫌い! …嘘。大好き。【完】



「にやけすぎ(笑)」


「え?俺もしかして


隠しきれてない?」


「クス♪全然」


満面の笑みってやつだね。

…さて、話さなきゃな。


「ねぇ、勇輝?」


「うん?」


うっ、言いにくい…


「大事な話があるの」


「おぅ。聞くよ」


少しの間、部屋の中が


静まり返る。


「あのね、本当に


悪いと思ってるんだけど」

「ん?」


どうした?って


優しい笑顔で聞かれる。

「私…ね。勇輝に


『恋』ってのを、


教えてもらったじゃない?

それで、…私好きな人が


出来たの。」


勇輝がピタッと固まる


表情が険しくなった。


勇輝に思いっきり


嫌われる覚悟も殴られる

覚悟も、見損なわれる覚悟


も出来てる。


「で、やっぱり忘れられない

から…今日で、最後に


してほしいんだ。ほんとに

ごめんなさい!」


頭をスッと下げる。


恐る恐る顔を上げる私


「本気?」


今まで見た中で


一番怖い顔かもしれない。

「うん。」


ふっ!と勇輝は笑った


え??笑っ…


「舞い上がってたのは


俺だけだったって


ことかぁ。」


ははは。と無理して笑う


勇輝の顔はひきつっている

違うよ!?私だって…


ダメ。今の私のセリフ


じゃない…


「……ごめん。」


「何で謝んの?


百合は別に悪くなくね?」

「ううんっ、私が悪いっ!

あんなにも『愛』を私に

くれたのに…」


「ははっ…もう『あんなに』

なんだ?」


「ごめん。」


「あぁ。いい…


百合を追い詰めたい訳じゃ

ないしな?でもさ、


最後に1つだけいい?」







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