春よ、来い

「私、会社、辞めちゃったんです。」

「…？！」

「だから…今日、これから実家に帰る所なんです。」

何か起きたはずという確信はあったにせよ、彼女の答えは、どう答えていいかわからないくらい僕に衝撃的なものだった。

「結構、気張りつめてやってたんですけど、もう限界かなって思って。自分が本当に必要とされてるかどうか考え始めちゃったら、なんかもうやんなっちゃったんです。」

彼女は淡々と答えた。僕はただそれを聞いて、彼女をただ見つめるしかなかった。

やがて彼女は僕のほうを向いた。