春よ、来い
「僕は…」

 彼女はびっくりして振り返った。

僕も自分の大胆さに気づき、びっくりして彼女の腕を放した。

到着した上り電車は、あっと言う間にホームにいた多くの人を飲み込んで行ってしまった。

ホームには僕と彼女が不思議な空気に包まれて取り残されてしまった。

僕が言いかけた言葉は、飲み込むには大きすぎた。

もう一度落ちついて、自分の今の気持ちを彼女に言うことにした。
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