春よ、来い
「僕は…あなたには何の関係もない人間です。

お互いの名前すら知りません。

ただ一度ぶつかって、

それからなぜか毎朝会釈しあうようになっただけの関係です。

けど僕は、今あなたに行って欲しくない。

あなたにこの街にいてほしい。

朝、この駅にいてほしいんです。

僕は夜、宅配便の仕分けをしています。とっても疲れます。

朝帰るのがとてもイヤだったけど、でも僕もあなたと会釈するのがとっても楽しみだったんです。

あなたの顔を見ると明日も頑張ろうって思いました。

心の支えなんて言ったらへんだけど、きっとそれに近い物だったんです。

他人や会社は知りません。

けど僕はあなたにいなくなって欲しくない。


僕はあなたにいてほしいんです。」
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