春よ、来い
まだ彼女はうつむいたままだった。

それから気が遠くなるような長さに感じた短い沈黙があって、

彼女はベンチにゆっくりと座った。

「やっぱり…やめます。」

「えっ?」

 彼女の言葉がよく聞こえず、僕は聞き返した。

「とりあえずやめます。」
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