太陽には届かない
そして愛情は

再会

金曜の夜…


『泰之!』


陽菜は、駅の改札から出てきた泰之に駆け寄る。

満員電車でもまれて来たのだろう。スーツにはシワがよっていて、その手に握りしめたおみやげの箱までもが、ボコボコに変形してしまっている。


『久しぶり。』


電話で聞く声とは少し違う、生の泰之の声。


『泰之…』

『箱、ぐちゃぐちゃだよ?』


箱を指さして、陽菜は笑う。

泰之は、気まずそうな顔で箱を差し出すと、


『陽菜に食べさせたくて持ってきたんだけど…』


と苦笑いをした。

陽菜はその顔がかわいくて、人目もはばからず、泰之に抱きついた。


『ちょっ…陽菜!』


泰之は、人前で手をつないだり、くっつく事を異常に嫌がる。


『えへへ…行こっか!』


陽菜は泰之から離れると、照れたように笑い、泰之の先に立って歩き始めた。
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