太陽には届かない
-トラブル発生、会社まで来てくれる?タクシー代は俺が持つから!
…吉田だ。
-えぇ?!せっかくの休みなのに?行ったら何かいい事あんの?
陽菜はちょっと意地悪にメールを返す。
メールはすぐに返ってきた。
-俺の笑顔と、“カラーグラス”のプリンが待ってるぞ!
“カラーグラス”は会社の近くにある、洋菓子店だ。
そこのプリンは陽菜の大好物で、お昼休みに駆け込んでは、まとめ買いをする。
-アンタの笑顔はいらないけど、プリンのために行く。一週間分頼むよ!!あと、タクシー代、よろしく!
陽菜はそう返事をすると、駅に戻り、タクシーを拾って行き先を告げた。
流れる景色を見ながら、泰之に思いを馳せる。
-今の会社を辞めて、泰之の元へ行く…。
遠距離恋愛をしていれば、一度は考えそうなことだったのに、陽菜はそれを、一回も考えたことがなかった。
確かに、今の会社に対する不満も多い。
上司のカオリのやる気のなさが気に入らない。
課長はセクハラだし、仕事も毎月同じようなことばかり。
きっかけは沢山あったはずだし、転職を考えたこともあったのに、泰之の元へ行くことを、不思議と一度も考えたことがなかった。
わざわざ持ってきてくれたプリン。
ベッドの中で見せる、激情。
ビーフシチューを3杯もおかわりして『苦しい…』と言う笑顔。
あぁ…そっか…
『安心しすぎるんだ…』
小さくつぶやくと、運転手が反応する。
『なんでもないです。そこ、右に曲がって停めてください。』
陽菜は領収証を受け取ると、オフィスへと向かって歩いた。
…吉田だ。
-えぇ?!せっかくの休みなのに?行ったら何かいい事あんの?
陽菜はちょっと意地悪にメールを返す。
メールはすぐに返ってきた。
-俺の笑顔と、“カラーグラス”のプリンが待ってるぞ!
“カラーグラス”は会社の近くにある、洋菓子店だ。
そこのプリンは陽菜の大好物で、お昼休みに駆け込んでは、まとめ買いをする。
-アンタの笑顔はいらないけど、プリンのために行く。一週間分頼むよ!!あと、タクシー代、よろしく!
陽菜はそう返事をすると、駅に戻り、タクシーを拾って行き先を告げた。
流れる景色を見ながら、泰之に思いを馳せる。
-今の会社を辞めて、泰之の元へ行く…。
遠距離恋愛をしていれば、一度は考えそうなことだったのに、陽菜はそれを、一回も考えたことがなかった。
確かに、今の会社に対する不満も多い。
上司のカオリのやる気のなさが気に入らない。
課長はセクハラだし、仕事も毎月同じようなことばかり。
きっかけは沢山あったはずだし、転職を考えたこともあったのに、泰之の元へ行くことを、不思議と一度も考えたことがなかった。
わざわざ持ってきてくれたプリン。
ベッドの中で見せる、激情。
ビーフシチューを3杯もおかわりして『苦しい…』と言う笑顔。
あぁ…そっか…
『安心しすぎるんだ…』
小さくつぶやくと、運転手が反応する。
『なんでもないです。そこ、右に曲がって停めてください。』
陽菜は領収証を受け取ると、オフィスへと向かって歩いた。