太陽には届かない
亀裂
−…数ヶ月後
プロジェクトも大詰めに入り、会社をあけることができない陽菜は、泰之に会いに行く約束を果たせない事が後ろめたく、ここ一ヶ月位、連絡を取れないままいた。
一方、カオリや由梨は、良平がオフィスに来ると、浮き足立っているのが分かる位機嫌がよかった。
また、陽菜も内心、良平に心惹かれてはいたが、泰之の事さえないがしろにしている今は、そんな事に構っている暇はなかった。
『陽菜ちゃん!』
林カオリの声がして、振り向くとカオリが手招きをしている。
陽菜は席を立つと、カオリの元へ走って行った。
『今日、吉田くんが休みなの。で、有田くんが簡単な書類作成を任せられたらしいんだけど、私たちに聞きたい事があるらしくて』
普段、吉田達が作業している部屋に向かうと、良平が何やら気むずかしい顔をしている。
『あ、相沢さん…すみません。』
軽く恐縮すると、書類を持って陽菜の近くにやってくる。
三人で頭を合わせながら、一時間ほどで作業を終えた時、良平が思いがけない言葉を口にした。
『あの、今日三人で食事に行きませんか?お礼にオレにおごらせて下さい。』
陽菜は一瞬唖然としたが、悪くない話だと思い、
『オッケ、じゃあ定時に迎えに来てくれる?』
と、良平に告げた。そしてそれから、カオリを見やり、
『カオリさんも定時で切り上げ、お願いしますね。』
と付け足した。
プロジェクトも大詰めに入り、会社をあけることができない陽菜は、泰之に会いに行く約束を果たせない事が後ろめたく、ここ一ヶ月位、連絡を取れないままいた。
一方、カオリや由梨は、良平がオフィスに来ると、浮き足立っているのが分かる位機嫌がよかった。
また、陽菜も内心、良平に心惹かれてはいたが、泰之の事さえないがしろにしている今は、そんな事に構っている暇はなかった。
『陽菜ちゃん!』
林カオリの声がして、振り向くとカオリが手招きをしている。
陽菜は席を立つと、カオリの元へ走って行った。
『今日、吉田くんが休みなの。で、有田くんが簡単な書類作成を任せられたらしいんだけど、私たちに聞きたい事があるらしくて』
普段、吉田達が作業している部屋に向かうと、良平が何やら気むずかしい顔をしている。
『あ、相沢さん…すみません。』
軽く恐縮すると、書類を持って陽菜の近くにやってくる。
三人で頭を合わせながら、一時間ほどで作業を終えた時、良平が思いがけない言葉を口にした。
『あの、今日三人で食事に行きませんか?お礼にオレにおごらせて下さい。』
陽菜は一瞬唖然としたが、悪くない話だと思い、
『オッケ、じゃあ定時に迎えに来てくれる?』
と、良平に告げた。そしてそれから、カオリを見やり、
『カオリさんも定時で切り上げ、お願いしますね。』
と付け足した。