太陽には届かない

−そして定時…



陽菜は私服に着替え、デスクに戻るとカオリに声をかけた。

『カオリさん、食事どうします?』


するとカオリからは思わぬ答えが返ってきた。


『ごめん…あたしやっぱり行かないわ。』


陽菜は驚いた。カオリなら、良平と食事をする機会を逃すわけがないと思ったからだ。


『えっ?何で…』


陽菜の言葉をかき消すようにカオリは口を開く。


『ちょっとね…ごめん!』


カオリの行動には謎が多い。飲み会に参加の意志を表していても、ドタキャンするのがほとんどだ。

噂では、新しい彼氏がいて、その人に呼び出されると、足繁く通っているらしいと耳にした。


『わかりました。じゃあ、有田さんに言って、次回にしてもらいますね。』


カオリは微笑むと、


『二人で行ってきて。私はいいから。』


と、席を立ち手を振って帰路についた。
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