太陽には届かない
『ありがとう。』
陽菜は助手席に乗り込むと、周りを見回した。
特に飾りものもなく、シンプルな車内。真ん中のドリンクホルダーには、灰皿がセットしてある。車内の香りが良平のつけている香水に似ていた。
『相沢さん、何食べたいですか?』
リクエストを聞く良平に陽菜は
『有田くんは?』
と逆に聞き返した。
『オレ、エビチリ好きなんすよ。中華でいいですか?』
良平が答えると、陽菜は大きく頷いた。
ギアを入れて、車が発進する。地下駐車場を出ると、ネオンが広がる。
陽菜は緊張していた。緊張のあまり、口数が少なくなってしまう。
−自分らしくないな…
そう思った。
15分程走ると、‘Chinese restaurant’と看板のある駐車場に止まる。
陽菜はそそくさと車を降りると、良平の後について、店内へと進んだ。
『いらっしゃいませ。』
禁煙か喫煙かと訊く店員に、良平が‘喫煙で’と答えると、店員が先だって歩き始める。
窓際の喫煙席に通されるが、タバコを吸わない陽菜には少しけむたい。
これが泰之だったら間違いなく、禁煙席を頼んだだろうなと思う。
『相沢さん、お酒飲めます?』
良平の問いかけに、フッと引き戻されると、陽菜は首を横に振った。
『私、お酒あんまり飲めないの。有田くんは?』
『オレはビールが好きっすね。でも今日は車ですから我慢します。』
と微笑んだ。
『いいよ、飲んでも。私運転できるから、有田くんの車運転して送ってあげる。』
陽菜が冗談のつもりでそう笑い返すと、良平は
『マジっすか?じゃあ飲もうかな。』
と、まじめな顔で言い出した。
陽菜は助手席に乗り込むと、周りを見回した。
特に飾りものもなく、シンプルな車内。真ん中のドリンクホルダーには、灰皿がセットしてある。車内の香りが良平のつけている香水に似ていた。
『相沢さん、何食べたいですか?』
リクエストを聞く良平に陽菜は
『有田くんは?』
と逆に聞き返した。
『オレ、エビチリ好きなんすよ。中華でいいですか?』
良平が答えると、陽菜は大きく頷いた。
ギアを入れて、車が発進する。地下駐車場を出ると、ネオンが広がる。
陽菜は緊張していた。緊張のあまり、口数が少なくなってしまう。
−自分らしくないな…
そう思った。
15分程走ると、‘Chinese restaurant’と看板のある駐車場に止まる。
陽菜はそそくさと車を降りると、良平の後について、店内へと進んだ。
『いらっしゃいませ。』
禁煙か喫煙かと訊く店員に、良平が‘喫煙で’と答えると、店員が先だって歩き始める。
窓際の喫煙席に通されるが、タバコを吸わない陽菜には少しけむたい。
これが泰之だったら間違いなく、禁煙席を頼んだだろうなと思う。
『相沢さん、お酒飲めます?』
良平の問いかけに、フッと引き戻されると、陽菜は首を横に振った。
『私、お酒あんまり飲めないの。有田くんは?』
『オレはビールが好きっすね。でも今日は車ですから我慢します。』
と微笑んだ。
『いいよ、飲んでも。私運転できるから、有田くんの車運転して送ってあげる。』
陽菜が冗談のつもりでそう笑い返すと、良平は
『マジっすか?じゃあ飲もうかな。』
と、まじめな顔で言い出した。