太陽には届かない
陽菜は一瞬頭が真っ白になったが、あまりに良平の顔が真剣だったので、今更冗談とは言えず黙っていた。

店員が注文を訊きに来る。

良平は迷わず、エビチリとチャーハンにビールを頼み、陽菜は戸惑いながらも、鶏肉とカシューナッツの炒めと杏仁豆腐を頼んだ。


『相沢さん、最近どうですか?』


急な問いかけに、口が半開きになったまま、良平の顔をまじまじと見る。


『あっ、すんません。オレ今、おやじ臭いこと言いましたよね。』


水の入ったグラスに一瞬視線を移し、照れくさそうに笑う。

良平はよく笑う。

笑いはするが、陽菜には良平が、本当に心から笑っているようには思えない。


『どうって…何について?仕事?プライベート?』


陽菜も笑って返すが、やはり愛想笑いだった。


『いや…特に…色々どうかなって…。』


『うーん…特にコレといったことはないかな?有田くんは?』


『オレもないっす。』


…………………。


しばらくの沈黙に、二人して笑い出す。


『アハハハハ!だめじゃん。会話終わっちゃったし!』


陽菜は勢いがついたのか、良平に思い切って訊いてみる。


『有田くん、彼女大丈夫?連絡した?』
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