太陽には届かない
良平はその言葉に少し目を丸くした。

と、その時、ビールが運ばれてくる。

良平はビールを受け取ると、一気に半分程飲み干した。


『オレ今、彼女と別れようか考えてて…』


良平の思わぬ言葉に、今度は陽菜の目が丸くなる。


『何で？』


陽菜は、立ち入ったことを聞いていいものか、一瞬迷ったが、好奇心が勝ってしまい、思わず疑問を口にする。

良平は再びジョッキに口をつけると、残りの半分を一気に飲み干した。


『色々あるんすけど…。』


そこで言葉が途切れる。

言いにくい事を聞いてしまったと、陽菜が後悔したその時だった。


『彼女が浮気してるみたいなんすよね…まだ分からないんですけど…。おかしい事だらけで…。』


良平がうつむく。

陽菜は正直驚いた。自分がフリーの身だったら、間違いなく良平に夢中だったし、夢中すぎて浮気なんて考えられない。むしろ、良平がモテ過ぎて、不安すぎて死にそうになるだろう。


『そっか…。私には分からないけど…。もし彼女と別れたら、私が付き合ってあげるから！』


陽菜は笑い飛ばしながらそう告げた。
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