太陽には届かない
『さて…と』

会議室に用意された椅子が、次々に埋まっていく。

経理課長、係長の林、そして陽菜もその場に腰掛けた。




『おはようございます』


低く優しい声に振り向くと、そこには良平が立っていた。


陽菜の心臓が、大きく速く脈打ち始める。


『おはようございます…』

あまりの緊張に、力ない小声で返すのがやっとだ。


続いて日焼けしたさわやか青年が入ってくる。

陽菜を見るやいなや、いたずらっ子のように目を輝かせて近づいてきた。
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