太陽には届かない

泰之は、俯く陽菜のあごに手をあててから持ち上げるようにして、自分の方へ向かせると、優しくキスをする。

涙で濡れた唇に、泰之の唇がそっと重なる。


『陽菜…、泣かないで。』


泰之は少し困った顔で陽菜を見る。

陽菜は頷くと、再び泰之の首に手を回し、きつく抱きしめる。

泰之はそのままそっと陽菜を横たえると、首や頬に何度もキスをした。


『今すぐにじゃなくていいから…いつかオレと結婚して?』


陽菜は何も言わず、泰之を見つめてキスを返す。


『愛してるよ、泰之。』


涙目で訴えた陽菜の言葉に嘘はない。

泰之のことを愛している。

泰之はその言葉に安心したのか、陽菜のブラウスのボタンに手をかけた。

陽菜は泰之のガウンを剥ぎ取る。


-泰之の体が欲しい。
 きっと生涯、こんなに体の相性がいい相手とはもう、めぐり合えない位の…


3ヶ月以上も恋人を受け入れていない陽菜の体は、泰之を激しく求めていた。


『泰之…、もう…分かるでしょう?』


陽菜のその言葉に、泰之の体が反応する。

陽菜はホテルに戻ってきた時と、ほぼ変わらぬ姿のまま泰之を受け入れる。

すぐに熱い衝動が、陽菜の中を突き抜け、程なくして泰之そのものが、体の中に流れ込んでくる。


『泰之…っ…』


『陽菜…』


その時間はあっという間だった。

そしていつもの通り、その行為は飽きることなく、何度も繰り返される。

4度目の最中だった。

何気なく、窓のほうを向くと、カーテンの隙間から満月が見えた。

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